劇中劇『はじめの一歩(いっぷ)』
劇中劇『はじめの一歩(いっぷ)』の経緯について。
きっかけ
発端となったのはこのツイート
実家の工房で古い将棋盤を見つけた藤原肇が、将棋の好きな白坂小梅に取り憑かれ、「因縁の「あの子」も誰かに取り憑いてるはずなので、将棋の強い人と戦っていけばいつか会えるから」とお願いされてしまい、渋々将棋を始めることになる81m@s
— 鎌倉あまね (@a_kmkr) 2017年5月28日
で、まあ何というかほったゆみ先生原作の漫画『ヒカルの碁』のパロディーとして考えてました。だから地味に某「ソウタの棋」より先にやってるんですよね。
肇が主人公に抜擢されたのは、ヒカルの碁で主人公のヒカルに取り付いた幽霊が「藤原佐為」だったので、逆に取り憑かれる方として名前ネタで採用したという経緯だった覚えがあります。
「名前ネタだというのであれば、ヒカルならむしろ南条光の方が良かったのでは?」という指摘が飛んできそうですが、実際その通りです。
多分「人助けをする」という観点では肇より導入がうまく進みそうですね。
ただ、光は正義感強そうなイメージがあって、本家でヒカルがやった佐為による代打ちのような行為を、たとえ非公式戦であったとしても卑怯として頑なに拒みそうだったので、やりたいこととしては向いてないと判断しました。
『南条光の碁』(あるいは棋)、幽霊が他にはおらず誰にも見えない設定でなら、光の良心の呵責が描けると思うので、いいと思います。
「あの子」について
多分初期ツイートと大幅に異なっているのはこの設定だと思います。
当時は
岡山出身ということもあり、あわや大山名人の再来かと言われるようになりその強さが注目されるようになるも、実は「あの子」はかつて大山名人に取り憑き、振り飛車党に転向させたガンバリマスロボ島村卯月だったのだ!()
— 鎌倉あまね (@a_kmkr) 2017年5月28日
ということで、星輝子ではなく島村卯月でした。本家『ヒカルの碁』でも実在の棋士・本因坊秀策の功績が佐為によるものという設定になっているのですが、フィクションとはいえ代指しは褒められた行為ではありません(というか反則行為な)ので、何らかの改変が必要でした。
プロ公式戦や、それに繋がる対局(作中ではアイドル候補生リーグ、でしょうか。あるいはアマ棋戦)においては絶対に小梅たち幽霊役に代指しさせるわけにはいかないので、肇が岡山出身ということもあり大山名人に取り憑いて四間飛車を指させようとアドバイスした設定にしました。
初代大橋宗桂と本因坊算砂の対局が記されている最古の棋譜では、算砂が四間飛車、宗桂が右四間飛車を採用していますが、当時は美濃囲いが存在しません。美濃囲いが生まれるには江戸後期まで待たねばなりません。
81m@sの名作『盤上のシンデレラ』の卯月はノーマル四間ジャンキーですが、仮にその設定をオマージュさせていただくには、美濃囲い以降に登場しなければならないので、その辺も考慮しないといけない点ですね。
小梅は以前は誰に憑いてたんでしょうか。升田幸三? 山田道美?
とはいえやはりいろいろと問題なので、ちょっとした「しょうこうめ」を描きたくて輝子が「あの子」に採用されました。
「盤上の星」と、「盤に取り憑いた小梅」。輝子の成仏のあとも2人は一緒にいるんですよ。盤上に星? あるわけないだろ。これで羽生時代も終わったな。
その他配役について
池袋晶葉
実は名前ネタ。『ヒカルの碁』でヒカルのライバルとなる塔矢アキラから、
アキラ→晶→晶葉
と変換した結果。というか天才キャラなので、棋力を失った輝子の力を借りずとも自力で成長できそうだし、むしろ一人でソフト(大石泉製作なのか、晶葉なのか。少なくとも電王手的なやつは晶葉が作っているはず)と対局していた日々を思うなら、欲しかったのは棋力ではなく友達だった、というのは割と納得いく設定かもしれないですね。
脇山珠美
首藤葵
コネ採用。本当は仁美とあやめも出したかったですね。センゴク☆華☆ランブはいいぞ。
シン選組ガールズは出ないのかって? 珠美がかっこいいからいいんです。
小関麗奈
山形出身アイドルは麗奈か榊原里美、なのですが、イタズラで余り歩を盗んだんじゃないかという酷い言いがかりをつけられてしまったり、風林火山将棋のように変則ルールが似合うという点でこれ以上ないほどぴったりだったレイナサマ。
こういう作中ミニゲーム的なやつ、かなり好きですね。
対局に必要な40枚の駒に加えて余り歩が2枚、というのが基本ですが、輝子が取り憑いていたため、また「死に(42)」に繋がるのを避けて「良い(41)」にするために、以前の駒の持ち主から預かっていた設定です。いい駒なので目標として持っていたのかも。
タイトルについて
ビビさんのツイート
はじめの一歩(いっぷ)とかいうタイトルにして、一歩竜王的な棋譜が……まで勝手読みした。 https://t.co/OAQ3PCZOqe
— 魔界と交信中『ビビ』 (@vivivich) 2017年5月28日
を採用。某ボクシング漫画……。
そのまま藤井羽生戦の一歩竜王の棋譜*1を採用するだけではタイトルにするには弱いので、このために失われた「物理的な」一歩を探しに行く展開を用意したのが麗奈編のきっかけだったり。
その他小ネタ
そびえ立つ京都タワー問題
バクマツ=タワーと揶揄されていましたが、デレステ紗枝コミュのをそのまま使ったので京都タワーが立っていますね。あれはわざとです。わざとです。
天童=京都問題
天童の背景は周子の実家の和菓子屋。
藤井−羽生戦引用ノルマ問題
第1話冒頭の高垣−島村戦も羽生−藤井戦の引用ですが、別に文香さんの歌的なノルマではないです。偶然です。
『はじめの一歩(いっぷ)』のこれから
ウソm@sでもなんでもやればいいのかもしれないですけど、ボンソワールだけで手一杯なので、割と本気で誰かやってくれるなら歓迎……なのかもしれないです。来年度は忙しくなるので、その前になるべく進めておきます、はい。
以上。